大崎リサイクルシステムの展開に向け、長野県白馬村に視察へ

展開 白馬村 視察 長野県

サーキュラーエコノミーをテーマに、カンファレンスが開かれる白馬村

大崎町SDGs推進協議会では、リサイクル率83.1%を誇る大崎リサイクルシステムを他の自治体でも実践することを通じて、大崎町だけでなく社会全体で環境負荷を減らすことを目指すプロジェクトを展開しています。

本プロジェクトでは、私たちが他の自治体の現地調査をしたり、大崎町での視察受け入れを通じて、他地域への展開の可能性を探っています。

今回は、サーキュラーエコノミーをテーマにすえたカンファレンスが実施されるタイミングに合わせて長野県白馬村に伺い、イベントの参加とごみ処理施設を見学させていただきました。

サーキュラーエコノミーについて学び、実装につなげる「GREEN WORK HAKUBA

白馬村は、北アルプスの東側に位置する自然豊かなまちです。人口9,000人ほどの小さな村には、夏は登山やマウンテンバイク、冬はスキーやスノーボードを求めて、なんと年間240万人もの観光客が訪れます。自然豊かな白馬村では、冬の降雪量の減少という身近な変化を通じて、気候変動への関心が高まっているそうです。

そんな白馬村では、「サステナブルを遊ぶ、企む、つくる。」というテーマを掲げ、サーキュラーエコノミーについて学び、実装につなげていく「GREEN WORK HAKUBA」というプロジェクトが2020年に立ち上がっています。

今年は7月27日から29日にかけて第四弾が開催され、協議会からも3名参加しました。全国各地から30社60名ほどが参加し、3日間のプログラムを現地で体験しながら、交流や学びを深めていきます。

内容の濃いトークセッションやプレゼンテーションなど、学びを深める時間の合間に、白馬村の大自然を肌で感じられるアクティビティプログラムも設計されていました。頭と体の両方から、自然やサーキュラーエコノミーについて知ることができる贅沢な時間でした。

白馬村の廃棄物処理に関する施設を見学

今回の訪問の目的は、「GREEN WORK HAKUBA」の参加に加えて、白馬村のごみ処理について学び、大崎リサイクルシステムの展開を検討すること。

イベント実施前後でお忙しい中でしたが、白馬村観光局の福島洋次郎さんにご調整いただき、白馬村に到着した初日に、令和2年度に新しく建設された「白馬リサイクルセンター」を見学させていただきました。

今回、視察の調整をしていただいた福島洋次郎さん(左から2人目)
大崎町と同じく、複合素材を分解・分別するための工具があった

「白馬リサイクルセンター」では、回収だけでなく持ち込みごみの搬入も受け付けています。

白馬村は観光業が盛んで個人のサービス業やペンション経営者の方が多く、宿泊客への朝食時やチェックアウト後にごみを出す方が多く、地域のごみステーションの回収時間に、ごみ出しが間に合わない方が多くいらっしゃいます。そのため、持ち込みごみの搬入が多いそうです。

加えて、近隣はパウダースノーを求めて国内外から集まるスキーやスノーボードのお客さまや、別荘利用の方も多く、時期によりごみの量が大きく変わるとのこと。

実際に話を聞いたことで、白馬村ならではの廃棄物処理の事情が見えてきました。

ボトムアップでサーキュラーエコノミーを広げていく可能性

次に見学させていただいたのは、焼却処理場の「北アルプスエコパーク」。白馬村の中心地から30分ほど南下した、大町市の少し山側に位置する、2018年にオープンした新しい施設です。

白馬村は広域連携でごみ処理をしており、1市3村の焼却ごみがこの施設に持ち込まれます。

研修室もある焼却処理場では、小中学製の社会科見学も受け入れているそうで、分かりやすい解説ボードがそこかしこに掲示されていた

印象に残ったのは、焼却処理で出た熱が、施設の融雪に利用されていること。降雪量の多さという地域特性に合わせた廃棄物処理のあり方を学びました。

今回の視察及び「GREEN WORK HAKUBA」への参加を通じて、白馬村における、ボトムアップでサーキュラーエコノミーを進めていく可能性を感じました。

例えば、「GREEN WORK HAKUBA」の2日目に発表された、しくみ株式会社代表の石田幸央さんが主催する「地域と暮らしのゼロカーボン勉強会」は、2022年5月に始まってから既に12回以上実施されているそうです。

加えて、宿泊業の事業者が多くいる白馬村で、宿泊業界における課題解決のために立ち上がった「白馬村宿泊イノベーション研修」では、取り組みの一つとして持続可能な宿のあり方を目指し、アメニティの見直しをエリア全体で始めたそうです。

行政やごみ処理に関わる業者だけでなく、事業者や住民が自ら自然環境に対してできることを探し、学んでいる事例をいくつもお聞きし、大崎町における分別やリサイクルの仕組みの根幹は住民の自治組織である衛生自治会が担っていることを再認識しました。

白馬村でも、ボトムアップでサーキュラーエコノミーを実現するために協議会としても何かお手伝いできないかを引き続き一緒に検討させていただければと思っています。

(文・ディレクター 井上雄大)

プレスリリース

なし

クレジット

ご協力いただいた方々

<北アルプス広域連合>

  • 西山 孝 様 
  • 伊藤 達男 様

<しくみ株式会社>

  • 石田 幸央 様

<白馬村観光局>

  • 福島 洋次郎 様
  • 青木 美由紀 様

<株式会社新東通信>

  • 榎本 裕次 様
  • 山下 史哲 様
  • 松下 晃平 様
  • 祐川 幸子 様
  • 竹林 希 様
  • 中河 琴音 様
TOP