サーキュラーヴィレッジ・大崎町の推進に向け、徳島県神山町・上勝町の様々な施設を視察しました

上勝町 徳島県 神山町

大崎町SDGs推進協議会(以下、協議会)では、リサイクル率が80%を超える大崎町が地域内の小さな循環を、より多面的に実現できるよう、さまざまなプロジェクトを推進しています。

今回、住民と移住してきた人々、企業や団体が関わり合いながら地域の仕組みや事業を構築している徳島県神山町と上勝町を視察してきました。

上一宮大粟神社参道

住宅施設

施設整備を実施し、移住者受け入れ事業を継続している徳島県神山町の住宅施設を見学しました。大崎町においても既存の生活を見直すだけでなく、地域の持続性を高めるために子育て世代が安心して過ごせる環境や、移住者を受け入れる魅力的な施設が必要になると考えられます。

大埜地の集合住宅(神山町)

一般社団法人 神山つなぐ公社(以下、つなぐ公社)の高田様にご案内いただき、神山町とつなぐ公社が連携して実現した大埜地(おのじ)の集合住宅を見学しました。神山出身で町外から戻ってきたい人も、すでに町に暮らしている人も含め、これから子育てをしていく人を対象とした施設です。

全体配置図(公式HPより参照)
全体配置図(公式HPより参照)

共用施設の鮎喰川(あくいがわ)コモンと木質バイオマスボイラーのエネルギー棟を実際にご案内いただきました。実現プロセスや工夫した点などについては、住民の方々がいらっしゃるため資料を通して説明いただきました。

木材などの地場産材利用や建設前の既存施設の解体時に発生したコンクリートガラを再利用した点など資源循環のヒントになる工夫が多く、また鮎喰川コモンは地域住民だけでなく町外から来た方々もテレワークの場として利用ができるため、神山町で実施される様々な事業の支えになっている印象を受けました。

鮎喰川コモン内観
鮎喰川コモン内観
鮎喰川コモン内の子どもたちが身長を測った後
鮎喰川コモン内の子どもたちが身長を測った後
神山つなぐ公社の取り組みについての説明風景
神山つなぐ公社の取り組みについての説明風景
エネルギー棟の外観
エネルギー棟の外観

すみはじめ住宅(神山町)

大埜地の集合住宅は子育て世代をターゲットとした施設ですが、それとは異なる移住者向けの施策として実施された「すみはじめ住宅」も、いくつか見学をすることができました。

寄井(よりい)の家と店 外観
寄井(よりい)の家と店 外観
寄井の家と店 住宅側内観
寄井の家と店 住宅側内観
西分(にしぶん)の家 外観
西分(にしぶん)の家 外観
西分の家 共用部内観
西分の家 共用部内観

宿泊施設

神山町内で地域に根ざした運営を行っている宿泊施設をいくつか視察しました。今後、大崎町においても視察に来られた企業や団体の方々を受け入れ、かつ具体的な対話の場としての宿泊施設整備を予定しています(*1)。

WEEK神山(神山町)

鮎喰川沿いにある宿泊施設です。古民家を改修した受付兼レストラン棟と神山の木材を利用して作られた宿泊棟があり、おいしい食事と神山らしい雄大な景色を楽しめる施設です。

鮎喰川のほとりから見上げる宿泊棟の外観
鮎喰川のほとりから見上げる宿泊棟の外観

建物のすぐ近くにNPO法人グリーンバレーが運営する神山バレー・サテライトオフィス・コンプレックスがあり、それらの施設と連携が自然と生まれ相乗効果を生んでいます。

客室内から鮎喰川を望む
客室内から鮎喰川を望む

B&B On y va & Experience(神山町)

「B&B On y va & Experience」、通称オニヴァは古民家を改修した一泊一組限定の宿泊施設です。最大10名まで宿泊ができ、企業の研修などの利用が多いとのことでした。

宿泊施設内観
宿泊施設内観

こちらの施設ではデザインだけでなく、エネルギー利用も考えこまれており、給湯は太陽熱温水器と木質バイオマスボイラーの2つの手段でカバーし、また屋外通路などの照明を太陽光パネルとリユースバッテリーにより部分的にオフグリッドにするなど様々な工夫が施されていました。

国内メーカーmokiの薪ストーブ
国内メーカーmokiの薪ストーブ
ATOのバイオマスボイラー
ATOのバイオマスボイラー

ゼロ・ウェイストアクションホテル 「HOTEL WHY」(上勝町)

上勝町にあるゼロ・ウェイストセンターに隣接する体験型宿泊施設「HOTEL WHY」にも宿泊しました。チェックイン後、夕方には施設ツアーがあり、翌朝は宿泊時に出たゴミを実際に分別体験することができます。

周囲の静けさが相まって別荘やペンションに泊まっているような、おおらかな環境が印象的でした。

ホテル外観
ホテル外観
ホテル中庭部 ここから各部屋へ入る
ホテル中庭部 ここから各部屋へ入る
ホテル内観
ホテル内観

レストラン等飲食施設

かま屋(神山町)

神山町にある食堂「かま屋」へも実際に訪れることができました。神山町の農業と食文化を次の世代につないでいくことを目的にオープンした食堂で、株式会社フードハブ・プロジェクトが運営しています。同社の取り組みである「育てる・つくる・食べる・つなぐ」の「食べる」を担う施設です。

店内の中心にはショーキッチン、その周りにテーブル席が配置され、食文化にまつわる本なども展示されていました。また、各テーブルには毎週の産食率(*2)がまとめられた過去のメニュー表があるなど、地産地消が注目される中で真似をしたくなるおもしろい工夫が見受けられました。

(*2)「産食率」は、食堂における「地域で育てて、地域で食べている」割合(%)を定期的に測定していくための、私たちが定める基準です。公式サイトより引用)

神山町にある地産地消をテーマとしている飲食店「かま屋」
神山町にある地産地消をテーマとしている飲食店「かま屋」
食堂内に並べられている本
この日はメインは「徳島県産 スズキのわかめソース」でした
この日はメインは「徳島県産 スズキのわかめソース」でした
食堂と同じ敷地内にあるパン屋
食堂と同じ敷地内にあるパン屋

RISE & WIN Brewing Co. BBQ & General Store(上勝町)

上勝町では、クラフトビールを製造している「RISE&WIN Brewing」のカフェ兼ショップに行きました。もともとは「上勝百貨店」という量り売り店舗からスタートし、その後クラフトビールの魅力と上勝町のリサイクルの取り組みをつなげるコンセプトを掲げ、開業されました。

クラフトビールはもちろん、環境配慮型の製品の販売、リユース家具・小物で構成されたインテリア、加えてしっかりと上勝町の風景も楽しめる屋外スペースもあり、建物のしつらえから利用方法、コンテンツに至るまで、過ごす人の体験が徹底して作り込まれている施設という印象でした。

外観 大きな窓がアイストップになっている
外観 大きな窓がアイストップになっている
内観 リユースされた家具・小物が散りばめられている
内観 リユースされた家具・小物が散りばめられている
ブリュワリー内観 奥から手前にかけて製造工程が設計されている
ブリュワリー内観 奥から手前にかけて製造工程が設計されている
店舗に併設する庭 BBQや宿泊も可能
店舗に併設する庭 BBQや宿泊も可能

最後に

大崎町では、今後リサイクルをベースとし、より小さな循環を産むためのプログラムを実施していきます。今回、資源循環以外の地域課題の解決にむけた、ハード整備事業も見学しました。それぞれが地域の特性を活かす工夫が施されており、大崎町で今後作っていく事業の可能性を広げることができました。

(文・建築設計担当 遠矢 将)

プレスリリース 

なし

クレジット 

ご協力いただいた方々

  • 一般社団法人神山つなぐ公社
    • 代表理事 馬場達郎様
    • 業務執行理事 梅田 學様
    • 業務執行理事 高田友美様
    • すまいづくり担当 小池 裕子様
  • 株式会社神山神領 代表取締役 神先 岳史様
  • B&B On y va & Experience 齊藤 郁子様
  • NPO法人まちの食農教育 代表理事 樋口 明日香様
  • 株式会社 BIG EYE COMANY CEO 大塚 桃奈様
  • RISE & WIN Brewing Co. BBQ & General Store
    • 醸造 引田佑介様
    • store manager 池添亜希様
  • HUG sent 山本 菜保様
TOP