「捨てられないものたち」出版記念イベントレポート
2026年6月20日(土)、大崎町にある「マルおおさき」にて、書籍『捨てられないものたち』の完成を記念した出版記念イベントを開催しました。会場には、大崎町の住民の方々を中心に約50名が集まりました。当日は書籍の紹介や制作背景の共有に加え、参加者の皆さまに自身の「捨てられないもの」を持ち寄っていただき、そのものにまつわる記憶やエピソードをお互いに話し、聞き合う対話プログラムを実施しました。

地域の人たちと一緒に、一冊の本をつくる意味
イベントの前半では、なぜ私たちが本という形を選んだのか、制作の背景が共有されました。大崎町はこれまで「環境・リサイクル」の側面で数多くのメディアに取り上げられてきましたが、大崎町だけをテーマにした「本」は出版されていませんでした。そこで今回は、資源循環だけでなく、町の人たちの日常の暮らしや営み、価値観を伝えるために本を制作しました。地域の人と一緒に「本」をつくる経験を通して、次の表現や文化へとつなげていきたいという思いが込められています。

また、本に登場する11人の取材対象者は、性別や居住エリア、職業が偏らないように、大崎出身の方から移住者まで幅広くお声がけをしています。当日は、実際に取材に協力してくださった方々にも登壇していただきました。完成した本を手にしたときの思いや、取材を受けた率直な感想を直接語っていただき、本づくりの喜びが会場全体に伝わる時間となりました。

あなたの「捨てられないもの」は何ですか?
後半の時間は、ご来場いただいた皆さんが主役です。参加にあたり、事前にお願いしていた「自分の捨てられないもの」を一つずつ持ち寄っていただきました。会場には、青年団活動で悩んでいた際のバイブルとなった本や、愛猫の毛や髭を丸めたボール、高校時代の部活のユニフォームなど、一人ひとりの思い入れが詰まった品々が集まりました。
そんな多種多様な「捨てられないもの」を前に、2人1組のペアインタビューがスタート。お互いが「話し役」と「聞き役」を15分ずつ交代しながら、持ち寄ったものにまつわるエピソードを引き出し合いました。

初対面同士であっても、目の前にある「もの」を介することで、自然と会話が弾んでいきます。話し手の声のトーンが次第に熱を帯び、聞き手も深く頷きながら相槌を打つ。会場のあちこちで、時間を忘れたように語り合う姿が見受けられました。
ペアインタビューの後は、3〜4人のグループになって、感想や印象に残ったことを共有し合いました。単にものを紹介するだけでなく、その背景にあるそれぞれの人生の一部を分かち合う時間は、まさに「ものを見ることで、人が見える。人を見ることで、まちが見えてくる」という、この本に込めたメッセージを体感する豊かなひとときとなりました。

日常のなかで続く、小さな幸せ
書籍『捨てられないものたち』の「おわりに」には、こんな願いが綴られています。
「リサイクルで資源が回るように、誰かが大切にしてきた時間や願いが、この本を通じて誰かへと伝わり、町の中にやさしく循環していったらいいなと思っています。そして願わくば、この本を読んだ誰かが誰かに会いに行きたくなったり、自分にも捨てられないものがあったな、と思い出したり。そんな小さな幸せが、大崎町から少しずつひろがり、それぞれの暮らしのなかで静かに続いていくことを願っています。」
今回のイベントは、参加者の皆さんの語り合いを通じて、まさにこの「本に込めた願い」を実際に体感できる温かい時間となりました。さらに現在、完成した書籍は本づくりに関わってくださった方々のお店などにも置かせていただき、町の中で販売されています。
この本を手にとった方々の日常にも、そんなあたたかな循環が生まれることを願っています。大崎町SDGs推進協議会では、これからも資源だけでなく、人と人とのつながりや想いが地域の中にやさしく循環していくような取り組みを続けていきます。
書籍のご購入について
取り扱い店舗(2026年9月1日現在)
- ギャラリー陶千花(大崎町)
- 白鶴(大崎町)
- 後藤書店(大崎町)
- まきのせ電器(大崎町)
- owl(鹿児島市)
オンラインでのご購入の場合は以下のURLから
クレジット
企画・編集:九法祟雄 様(KESIKI INC.)
装丁・デザイン:久保雄太 様(TSUZUKU)
撮影:小野慶輔 様
執筆:上泰寿 様(ケアの編集者)
進行:KESIKI INC.
制作協力:田中海音 様 中塚陽子 様 宮本佳苗 様
取材協力:大崎町のみなさま
印刷・製本:朝日印刷
イベント登壇:藤田香澄 様 宮本美和子 様 田中海音 様 有村たき子 様