地方の採用は、1社で戦わない。『大隅の人事部』人事研修を開催しました!

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2026年9月24日(木)、大崎町にて『大隅の人事部』の最初の取り組みとなる「人事研修」を開催しました。
当日は、大崎町内をはじめ大隅半島各地から16社・計23名の経営者や人事・総務担当者のみなさまにご参加いただき、大盛況のうちに幕を開けました。当日の熱気あふれる様子をレポートします!

大隅の人事部とは?

人口減少が進む地方において、「いい人材を採用したい」「今いる社員がもっと生き生きと働ける組織にしたい」という悩みは、多くの企業に共通する最重要課題です。

一方で、「人が大切なのはわかるけれど、自社だけで専任の人事部をつくるのは難しい……」「何から手をつければいいのかわからない」という声も少なくありません。

「1社で人事部をつくるのが難しいなら、地域でひとつの人事部をつくればいい」

そんな発想から今年度スタートしたのが、大崎町SDGs推進協議会が主催し、大崎町と鹿児島銀行が連携して取り組む『大隅の人事部』です。大隅の企業が会社の垣根を越えて「人」や「組織」について共に考え、地域外の人材とも接点をつくっていく。点(1社)ではなく「面(エリア)」で魅力的な地域・企業群を目指していくプロジェクトです。

(※『大隅の人事部』の詳しい概要はこちら:https://www.osakini.org/ohsumi-no-jinjibu/ )

第1部:ゲスト講演「自社なら何から始めるか、誰と進めるか」

プロジェクトの最初の取り組みとなる今回の人事研修では、鹿児島市に本社を置く創業115年の地域商社・株式会社KOBIRAより、取締役の池田さんを講師にお迎えしました。

2021年に東京から鹿児島へ移住した池田さんは、4代目社長の右腕として2022年から約3年半にわたり同社の組織改革を牽引。「紙とハンコと電話」のアナログ文化や先代からのトップダウン体質が残っていた組織を全方位的に改革し、「2年間で19名の採用」「創業以来の最高益達成」へと導いたリアルな実践事例をお話しいただきました。

① 横文字を使わない。「理念」は「温泉のマナー」?

組織改革の第一歩としてMVV(ミッション・ビジョン・バリュー)を策定した際、社内のベテラン社員から「俺たちの価値観を変えろというのか!」と強い反発があったそうです。

そこで池田さんたちが使ったのは、「これは温泉のマナーと同じです」という例え話でした。 「温泉にある『体を流してから湯船に入りましょう』という貼り紙は、法律ではないけれど、多様な人が同じ湯船に気持ちよく入るための共通マナーですよね。会社のバリューもそれと同じです」と説明したことで、社内でも「なるほど」と腹落ちが進んだといいます。その後、呼び方もMVVという横文字をやめ、「理念・志・流儀」という日本語に改められました。最後には各社へ、「自社の理念を分かりやすく語れるか?、語り方を何パターン持っているか?」という問いも投げられました。

② 全社員との1on1と「魔法の質問」

会社から「伝える」だけでなく、社員の声を「聴く」ために、社長と池田さんで全社員との1対1の面談を実施。面談の最後には必ず「もし1つだけ会社が何でも叶えてくれるとしたら、何をお願いする?」と質問したそうです。

すると、「月1回だけリモートワークをしてみたい」「社用車が危ないので整備してほしい」など、経営陣まで上がってきていなかった“すぐに解決できる小さな課題”が次々と発掘されました。組織文化が変わるには3年はかかるからこそ、目の前の小さな改善(クイックウィン)を積み重ねて「会社がちゃんと声を聞いてくれる」という安心感をつくることの大切さが語られました。

③「時間と専門性」に投資し、1社ではなく「面」で戦う

また、採用実務の未経験からスタートしたため、初期は採用代行(アウトソーシング)に投資してプロの知見と仕組みを社内に資産として残したこと、そして県外から優秀な人材を呼ぶためには「1社単独ではなく、鹿児島・大隅という『面』の面白さで見せていくこと」が不可欠であると強調されました。

現場のリアルな悩みが飛び交った質疑応答

講演後の質疑応答では、参加した経営者や担当者のみなさまから、自社の課題に引き寄せたリアルで切実な質問が次々と上がりました。

  • 「先代(3代目)から4代目へ、実質的に経営のバトンが渡った瞬間はいつだったのか?」
  • 「給与水準(額面)で都市部の企業に勝てない中、どうやって19名も採用できたのか?」
  • 「経営者の『右腕』となる人材には、どこへ行けば出会えるのか?」

特に注目を集めた「都市部との採用競争にどう勝つか」という質問に対して、池田さんは以下の3つの戦い方を共有してくださいました。

  1. 理念で勝負すること: 単なる業務内容ではなく「エッセンシャルワーカーをITで支える」といった社会的意義を打ち出すことで、採用難易度が非常に高い、経験豊富なエンジニアマネジャーが入社してくれた(年収が2/3くらいになっても参画してくれた)。
  2. 「未完成」を武器にすること: 「今まさにボロボロのところから会社を生まれ変わらせようとしている。第2創業メンバーとしてこの船に一緒に乗らないか?」と伝えることで、完成された大企業よりも面白みを感じる挑戦意欲の高い若手に刺さる。
  3. お金に「色(意味)」をつけること: 額面で勝てない分、家賃6割補助の住宅手当(住宅ローンも対象&夫婦双方に支給)やウェルビーイング手当、移住サポート手当など、会社のメッセージが伝わる福利厚生を設計して「意味」で戦う。

また、先代からの事業承継についても「正論(ロジック)だけで戦うのをやめ、先代が心配してくれている『親心・感情』をまず受け止めて感謝を伝えた上で、『ここからは自分たちのやり方でやらせてほしい』と言い切った取締役会を境に風向きが変わった」という生々しいエピソードが語られ、会場のあちこちで深く頷く姿が見られました。

第2部:自社の現在地を見つめる「棚卸しワーク」&グループ共有

講演でたっぷりと刺激を受けた後半は、参加企業ごとにワークシートに向き合うワークショップを実施しました。

ワークシートでは、以下のステップで自社の「人と組織」の棚卸しを行いました。

  1. 過去〜現在: これまで自社で「人」に関して取り組んできたこと、うまくいったこと、今気になっている課題
  2. 未来(3〜5年後): これからどんな会社にしていきたいか、そのためにどんな組織でありたいか
  3. ネクストアクション: 今日のKOBIRAの事例から自社に持ち帰って試してみたいこと、他社と連携できそうなこと

最初は少し頭を悩ませていた参加者のみなさんも、自社のメンバーと対話しながらペンを走らせるうちに、「うちもまずは社員一人ひとりの話を聞くところから始めようか」「この制度ならうちでも取り入れられそう!」と、次第に表情が明るくなっていくのが印象的でした。

個人・各社でのワークの後は、複数の企業で書いた内容をシェアする時間を設けました。

「先代からのトップダウン体質からどう脱却するか」「ミドルマネージャー層にどう自走してもらうか」「自社の魅力が外にうまく伝わっていない」など、業種や企業規模は違えど、抱えている悩みには驚くほど多くの共通点があります。 「それ、うちも全く同じです!」「こうしてみたらどうですかね?」と、会社の垣根を越えて共感やアイデアが飛び交い、まさに『大隅の人事部』としての横の繋がりが生まれ始めた時間となりました。

おわりに:大隅全体で「人と組織」をアップデートしていくために

池田さんが講演の最後に投げかけた、「組織を変えるには3年かかる。だからこそ、1人で抱え込まず、社内や社外に『同志・伴走者』をつくることが最初の一歩になる」という言葉は、参加したすべての企業の背中を力強く押してくれました。

1社だけでは解決できない課題も、大隅の企業が集まり、成功も失敗も共有しながら「面」で取り組めば、きっと大きなうねりになるはずです。

今回の人事研修を皮切りにスタートした『大隅の人事部』。次なるステップとして、12月4日(金)には東京でのイベント開催を予定しています! 今回の講演でもキーワードとなった「地域外の人材と『面』で接点をつくる」を実践する場として、都市部の人材に大隅の企業の魅力や面白さを直接届けていく企画を準備中です。

詳細およびお申し込み方法については、近日中にこちらの公式サイトやSNS等でご案内いたしますので、ぜひ続報をお待ちください!

ご参加いただいた16社のみなさま、そして惜しみなく実践知を共有してくださった株式会社KOBIRAの池田さん、本当にありがとうございました!

クレジット

<連携/協力>

  • 株式会社鹿児島銀行
  • 大崎町

<講師>

  • 池田亮平さま(株式会社KOBIRA 代表取締役副社長/CHRO)

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