大崎町で第1回「OSAKINI Cafe」が開催されました

ECOMMIT OSAKINI Cafe サーキュラーエコノミー

大崎町SDGs推進協議会(以下、協議会)では、循環型社会の実現のため、大崎町や未来の社会に必要な評価・研究・実践を科学的知見から行うプロジェクトである「サーキューヴィレッジラボ」を展開しています。

「OSAKINI Cafe」とは

様々な分野の研究者や専門家の方々と、大崎町の住民の皆様が、カフェのような感覚で、大崎町の一歩先の未来の姿をともに考え、意見交換をする月に1度のイベント。半年間の定期開催を通じて、実現したい未来のイメージを共有するとともに、実現に向けて協働できるネットワークを広げることを目的とした場です。

ダンボールの装飾は鹿児島の企業「エス・パックス株式会社」さんにご協力・ご提供いただいた

ラボの所長である大岩根尚さんが店長を、協議会のスタッフが店員を勤め、毎回ゲストをお招きして開催します。

ものの循環について考える

第1回目が行われた3月18日(土)は、「今からできるサーキュラーエコノミー」をテーマに、リサイクルの先にある「循環型社会」の未来について考えました。

株式会社ECOMMIT(エコミット)の代表取締役CEOの川野輝之さん

記念すべき第1回目のゲストとして迎えたのは、株式会社ECOMMIT(エコミット)の代表取締役CEOの川野輝之さん。『地球にコミットする循環商社』をスローガンに掲げるエコミットは、循環型経済の仕組みや、日本と海外のものの循環の仕組みをつくる環境ベンチャーとして注目されています。

今回のトークセッションでは、エコミットを起業した思いや、事業内容、そして目指している未来などのお話を軸に、川野さんの思いを伺いました。

「ごみって昔、燃やされてたらしいですよ」の時代を目指して

「生産、販売、消費、廃棄というものの流れを一方通行ではなく、サイクル化したい」。エコミット創業に対する思いをこう話す川野さん。実は、社会人になった当初は、廃棄物回収の仕事はお金を稼ぐ手段でしかなかったと言います。しかし、中古品輸出の仕事を通して​​、ものを循環させることの難しさを目の当たりに。

また、ドイツでは、リサイクルボックスがきちんとビジネス化がされていて、その結果、70%のものがリユース、リサイクルされている現状を知り、一念発起。


現在は、集めたものをリユース品として国内外に販売する事業のほか、マンションや店頭への不要品回収ボックスの設置、そして、それがお店で使えるポイントとなるアプリの開発など、廃棄されるものが循環し、再び流通してゆくための仕組みづくりを行なっています。

「もったいない」と言いつつも、捨てる日本人

循環型社会に対する川野さんの思いを聞いた後は、参加者の皆さんで感想の共有と質疑応答の時間です。


「中古品の買い取りを行う他企業との違いは?」という質問に対し、「いい質問ですね」と思わず笑みをこぼ溢す川野さん。

「『不要になったものが売られ、必要な人に買われること』は、ものの循環の形として一番理想的。ただ、今の日本では、忙しさや手間が掛かることを理由に、全国民の30パーセントしかこのようなサービスを利用していないという現状があります。だから『リサイクルショップやリユースショップへわざわざ持って行くなんて面倒臭い』という考えの穴を埋めるのが我々の仕事なんです」と返答し、不要品回収ボックスを生活動線上に置くことの重要性を訴えました。

最後には会場が一体となり、和やかな雰囲気でトークセッションが終了。第2部の「体験コーナー」に移ります。

サーキュラーエコノミーを体感する

第2部は、参加者同士の物々交換の時間です。 不要なものや、捨てようか迷っているものを持ち寄り、必要な人へと引き継ぐためのこの時間。今回は特別に、エコミットの店舗「ECOBACE」(エコベース)の展示品をご持参いただいて出張販売も行いました。販売品がもともとどこで使われていた物なのか、というストーリーを聞くことで一層の価値を感じる場面もあり、今回のテーマである「ものの循環」を肌で感じられる機会となりました。

今回、協議会の事業として新たに始まったこの OSAKINI Cafe というイベント。その名の通り“カフェ”でもあるため、ドリンクとフードの提供は欠かせません。

本日、参加者の皆さんをおもてなししたのは、神戸の石光商事株式会社さんが仕入れた豆を使用したコーヒー、大崎町の諸木農園さんのカフェインレスな桑抹茶を使用したお茶、oisixさんによるだいこんの皮やナスのヘタなど野菜の廃棄部分を使用しフードロス削減を意図したスナック菓子です。

石光商事さんは、コーヒーを抽出した後の残渣を燃料にして、化石燃料に頼らない方法で一部のコーヒーを焙煎したり、インドネシアやコロンビアなどコーヒー豆の農園で働く人々の賃金を、適正な価格に設定したりしています。今回、OSAKINI Cafeのために焙煎したばかりのコーヒー豆をご提供いただきました。

美味しいお菓子とコーヒーは、話が弾むためには大切な要素。こういう場面での環境や社会への配慮も含め、カフェの成功へ一役買う存在となりました。

第1回『OSAKINI Cafe』を終えて

「大崎町は、世界から見ても希望の町だと思う」。ものの循環の難しさを受け、カフェの店長であり、ラボの大岩根所長は、そう話します。昨年は500人近い視察者を迎え、80%を超えるリサイクル再利用率を誇る大崎町で開催される「OSAKINI Cafe」。今回のゲストである川野さんは、「ものの循環システムを作るためには多くの人の協力が必要」と話します。

このカフェから一人でも地球や地域、自分に優しい行動ができる人が増えれば、世界はまた一歩、より良い方向に前進するのではと感じました。短い時間でしたが、大崎町から世界へ、ものの循環の輪が広がっていく未来を垣間見ることができました。

(文・西園花音)

OSAKINI Cafe vol.1 グラフィックレコーディング

作:森山美里

プレスリリース

最前線で活躍する研究者や有識者とリサイクル率日本一の大崎町の住民が、これからの循環型社会について気軽に語らう月1イベント「OSAKINI Cafe」を3月よりスタート!

クレジット

登壇

株式会社ECOMMIT 代表取締役CEO 川野輝之様

出張ECOBASE

株式会社ECOMMIT 広報 鈴木衣津美様
株式会社ECOMMIT ECOBASE KAGOSHIMA 店長 東別府心様

託児スペース

MOMO カフェ様

ご協力

石光商事株式会社
エス・パックス株式会社

アーカイブ

レポート記事執筆:西園花音 様
グラフィックレコーディング:森山美里

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